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同僚の退職

夕方、同僚と雑談していたら彼女の退職話になった。他部署への異動かと思ったら6月に退職だという。理由はpersonalなもの。個人の事情―こう書くと深刻に響くがなんてことはない、一身上の都合、とでもいおうか。新職場は欧州某国の組織で、両親の家にも電車で2時間の距離と近い。

彼女は家族と5年近くマニラに住んでいた。引っ越すとなったら、賃貸で住んでいる家の引き渡し、子供の学校、旦那の仕事の調整、荷造りと引越し、などやること山積み、と続ける。不思議なことに、そこに、今している仕事の引継ぎの話が入るすきなど一切ない。これは彼女に限らず、これまでの退職者を見てきても共通している。無責任なのではなく、役割分担が明確なのだ。疑問をはさむ余地もないほど、明確すぎるとも言える。

では誰の責任になるのか。管理職マネージャの仕事である。
急な退職や休職、病欠等は不可避で予測不能なこと。発生した以上、その状況に対処して仕事を割り振るのはマネージャーの仕事であり、極論すれば担当者はしったこっちゃない。私が入った時も、マネジャーが担当者の一仕事をしていて不思議に思っていたら、急にスタッフが退職し、しかもそれを割り当てる人がいなかった(みな手一杯だった)ということでマネジャ―自ら仕上げるしかなかった状況だったとか。

ちなみに、フィリピンに住む欧州人は文化的環境と子供の教育環境に気を配る人が比較的多いとの印象である。程よく繊細で理性的な彼女は、特にその傾向が強かった。ただ私とはとかく気があっていた。仕事をする上でも一本芯の通った、軸のぶれない人だった。マニラの計画断水の話をしていた時は、「時々、ここでの生活に耐えられるか不安になるのよね」とため息をしいていた。この辺りは彼女の繊細さの表れだが、一方で着々と欧州での仕事を探していたとはさすがである。

「この時期に面接に、欧州まで行ったの?」
「まさか、Skypeで済んだわよ」

彼女に限らず、個人の事情を最優先してサッとやめる人も多い。ひとえに個人と家族の事情と天秤にはかり、その時に自分と家族にとってベストと信じる方を選ぶ。そこにはあるのは、合理的計算と判断に基づいた一個人の選択と決断。引き際とか潔さという説明の入る余地もない。周囲もその選択を尊重する。同僚や上司に理解してもらう必要もない。個人の選択に対してとやかく口を出すことは決してしない。野暮なことはなし。だからか、お別れ会を開いても笑顔のみ、そこに涙はない。そうした環境は、何とも清々しく、気持ちよい。同時に、そこはかとない一抹の寂しさも微妙に入り混じる。これは私が日本生まれの日本育ちだからだろう。

日本のモチ

フィリピンで意外と人気の日本の食べものーもち

モチといえば、私の中では切りモチである。、「日本といえば実はモチが好きなんだよ~」と異口同音にフィリピン人やインドネシア人が話すたびに、そもそもあの四角い焼きもちをどこでどう食べる機会があったワケ?内心ふしぎに思っていた。

ここで脱線するが、概してフィリピン人は日本食が好きである。ラーメン人気もその一例。しかしなにか違った感覚で楽しんでいるようにみえなくもない。たとえば、そば。日本の蕎麦屋のように丼ものはないが、かき揚げやてんぷらそば・うどんが食べれるので、私も時々、そばを楽しみに行く。ところがである。そば屋にいる大多数のフィリピン人客の頼むものは、かき揚げ、てんぷらのみ。そばやうどんの影かたちもない。そば、うどんは敬遠されているのだろうか?いや、ここはそば屋なんですが。。
しかも、フィリピン人のおしゃべりは有名だが、数人が集まるとそれはもう、にぎやかこの上ない。外で一人で食べる人などかなりまれ。必ず複数、少なくても2人以上でお店で来る。数人でテーブルの上で、てんぷらをつけ汁につけてはしゃべっている。衣の跡形もない天ぷらを箸でつっつきながら、なぜか食べないで、話に興じている。ああ、この光景を日本の天ぷら屋のこだわり主人が目にしたら何と言うだろう。いや、これは見せてはいけない、ここにとどめておくべきものに違いない。余計なお世話と知りつつ、隣の人の麺がのびることを気にしたりしている。

閑話休題。

ということもあり、フィリピンではしょうゆやきな粉につけずとも、何か別のもちの食べ方があるのだろう、と何となく思っていた。
日本のモチが大好きなんだよ、という同僚に、正月明けのこともあり四角いモチの小袋をあげたことがある。
ノリのいい彼は、顔色ひとつ変えず(というより普段通りの笑顔で)嬉しそうに受け取ってくれた。
その後のこと。あるフィリピン人に、「モチといえばあの柔らかさがたまらないのよね~」と話しているのを耳にした。
ん?モチって、もしかしてお菓子のもち?

mochi.jpg

そこで、日本から戻る時に吉備団子のようなもち菓子(↑)を買ってみると、これが好評。例の彼も「そう、これこれ。これがモチだよな~」と言うではないか!

これまで人気だったお菓子は、このもち菓子とうなぎパイだったことを書き添えておく。

フィリピン人にとっての誕生日


イベントが好きなフィリピン人にとって、最大のイベントはやはり誕生日だと思う。どんなに9月からクリスマスに向けてソワソワし始めようと、街にはクリスマスソングが流れようと、やはり自分の誕生日を一番大事に思っている。おそらくその優先順位は

クリスマス≒自分の誕生日>家族の誕生日≫イースター (私調べ)

例えば我が職場では、スタッフの誕生日は周囲の同僚からこぞって祝われる。だいたいランチかミリエンダ(お茶の時間、というより派手な軽食を持ち寄るパーティー。午後3時頃が多い)を開く。ただし日本と違って、そうしたパーティーを開く資金はバースデーボーイ・ガールもち。自分で主催するパーティーが通常なので、どうもサプライズはあり得ないらしい。もちろん誕生日が近い数人がいればまとめてお祝いもあるが、友人が会場セッティング、飲み物、食べ物等を用意する。裏を返せば、もし誕生日を祝われない人がいたとしたら(見たことないが)相当嫌われていることになる。ただし、これは基本的にはフィリピン人スタッフに限定してのこと。

対して外国人スタッフの場合、状況は様々だ。大人になっても誕生日を、家族や友人ならともかく同僚に「盛大に」祝福されるってフィリピンに来るまであまりなかった風習だ。そもそも午後の佳境の時間であり3時半とか4時にずれ込むこともあり、これまた定時に帰りたがるスタッフ(大半がそう)にとってはやはり避けたいこと。郷に入ってはということでみな成り行きに任せているがやはり敢えて誕生会を開くほど歓迎する向きでもない。私の場合、気づかれないのが一番いいと涼しい顔をしていた。

1年目:運よく(?)何もなかったが数日後に気づかれた(ご丁寧に毎月の誕生日チェックをしている人がいたのだ)→お詫びとともに大きなケーキを渡された→気持ちはうれしかったけど正直、甘いものは苦手→友人のドライバーにもらってもらう
2年目: その週は不在。また後日にやおら数人が来て「今からここで祝いの歌を歌います~」(もちろん業務時間)と言い出される→慌ててお気持ちだけいただき固辞した。ただ、フィリピン人は歌がうまいから、聴いておけばよかったかなと今思えば勿体ないことをした。

ほかにも誕生日をめぐる話は枚挙にいとまがない。
・子どもの1才の誕生日は両親にとって最大のイベントで、友人、親せきを招いて週末に行う。人気の会場はマクドナルドがジョリビ―(フィリピン最大人気のファーストフードショップ)。両親にとってもっとも誇らしくまた出費に頭が痛い時期でもあるとか(招待客が100人ということもある)。

・某同僚「父の誕生日だったんですぅ」
「3年前に亡くなったって言ってなかったっけ?」
「だからこそ今も家族で祝うのです!」(キッパリ)

・某コーヒーボーイは「ぼく、明日バースデー休暇を取ります」と嬉しそうに話していた

・某ドライバー「昨日は息子と甥の誕生日パーティーだったので休みを取りました」
「そう。ちなみに息子さんて何歳なの?」
「24歳」

フィリピン人を見ていて、自分がかわいい、自分は愛されていると思う気質はこういうところからも育つのだと思う。

北斎


日本を一歩出ると、なぜか日常的に日本の文化や伝統を感じていたくなります。日本にいた頃は当たり前のようにあったあれこれが普通にないもどかしさ(missing)とでもいいましょうか。その隙間を埋めるために、何か探してそばに置いて時々目に入ることでひとまずの安心感を得ているもいえます。それが私の場合、仕事で使うペン立てとオフィスの日よけです。どちらも葛飾北斎の富獄三十六景。ペン立ては赤富士、もちろん誰の目にもとまりません。それでいいのです。あくまでも私の精神安定剤なので。日よけは北斎の富士山の風呂敷でした。

オフィスの窓から朝日が差し込み眩しいのですが、朝の一時間ほどなのでカーテンをつけるほどでもありません。しかし眩しいので一時的な覆いがほしい。そこで考えたのが日の入る角度に布をかけることでした。そこで成田で見つけた北斎の風呂敷をかけてみたのです。これが的中。天気のいい日の朝日が差し込むときだけきれいに風呂敷が明るくなります。しかも、今は雨季で毎日晴れるとも限らないので、殺風景なオフィスのインテリアとして一役買ってくれていました。

hokusai.png

これが、やはりほかの人の目に留まり、先日はあるフィリピン人がやってきて
「今度日本にいくんだけれど、これいくらで買えるの?」
そこ?と思っていると、畳みかけるように
「これ、津波でしょ?」
(・・・)
津波は災害で、この絵は津波ではないと話しても
「でも津波でしょ?向こうに富士山みえるし」と繰り返す。
富士山が見えるから津波、というロジックが不明だが、日本の波=津波、とでもいいたいのだろうか。

日本にいる時は空気のごとき存在だった浮世絵。にわか北斎ファンのくせに、何だか北斎が軽んじられたような気がした。
これを津波と思いたいのなら、頼むから有名だというだけで買わないでほしいと思う私は傲慢でしょうか。

マニラは雨


雨季のフィリピンだが、一日中雨が降るわけではない。降っても日中の小一時間とか30分で止むとか。むしろ降りだす時間帯が読めない。昼の1時間であったり夕方の2時間であったりとまちまちである。

それがこの週末は朝から雨が降っており、お~珍しい、と思っていた。珍事は続き、土曜の昨日は一日雨が降り続いていた。とくに日中は雨煙で外が白くなり、窓外の景色が見えなくなるほどの雨足の強さ。夜になると雷まで加わった。日曜の今日は曇りかと思ったら午前中から降り始めまだ降っている。午後3時半の今にいたってはまた外の景色が白くなっている。

雨となると気になるのが渋滞。ということで、できるだけで所用は最小限にしひたすら家に閉じこもることになる。ところがスーパーに買いものに出ると、週末だけあってレストラン街はいつも以上に混んでいる。家族の集まりは雨ごときには影響されないらしい。雨でいいこともある。気温は上がらずクーラーが要らないのでおそらく27度くらいだと思われる。今の日本より涼しいのではないだろうか。

平日に雨が降ると道路状況(私の場合は通勤)に影響するので、ひたすら願うことはただひとつ。雨よ、降るなら朝夕は避けておくれと。明日からしばらく雨を見越しての通勤となりそうだ。
プロフィール

Sainah

Author:Sainah
途上国と開発援助、農業・生態系、少数民族、伝統文化、科学・技術、時間管理、組織マネジメント、外国語(☜ 日本語とあわせて日々奮闘中)、海より山、温泉、古いもの好き、ABBA、中島みゆき、海外ドラマ

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