重ね合わせて思うこと


田部井淳子さんご逝去のニュース。エベレスト登頂に初めて成功した女性の訃報をBBCでも報じていた。77歳というから母と同じ時代を生きていたことになる。母も喜寿を迎える1か月前に急に逝ってしまった。その母も生前は、テレビに映る田部井さんをみて話題にしていたことがあった。おそらく若かりし頃にエベレスト登頂を果たした田部井さんに対して、同世代の女性としての親近感とともに、憧れや尊敬の念を抱いていたに違いない。

日本人女性の平均寿命を考えれば、その母ももう少し頑張れたかもしれないと無念さが込み上げてくることもあった。近所や街中で普通に歩いていたりお元気にされている母より年長の方をみるにつけ、その思いは強まるばかりだった。しかし、あれほどの登山家でも、今年7月には富士登山するような健脚かつ体力の持ち主の田部井さんをしても同じ77年間の人生だったかと思うと、案外、母も母なりに頑張ったのかもしれないと思えてきた。

人生、健康で長く生きるに越したことはないが、その評価は長さばかりでもない。一瞬の輝きだったり、人知れず誰かのためになっていることを地味に行っていたり、生きざまはひとそれぞれだ。
思わず母の全力疾走ぶりを思い出しながら、つらつらとそんなことを思った日曜の午後。

ライトアップの正体


すでに日常となっているマニラの夜景。我が家の窓枠いっぱいに広がる、遠くのビルを含めた景色を毎日みながら、そう、いつも思っていた。昨日も今日も、そして、おそらく明日も同じように感じるはずだった。私のちょっとした疑問でもありどこなく気になる違和感ーそれは、マニラの夜の異様な明るさ。

とにかく夜景が明る過ぎるのだ。夜になっても彼方此方で光を放っているビルの灯、ビルの一面を陣取り煌々と輝く企業く広告ですら、毎晩11時には消えて暗くなる。なのに、その後も方々のビルの灯は点灯したまま。どうにもこうにも明る過ぎないか、まぶしすぎてエネルギーを無駄に消費していないか、いつしかそう思っていた。省エネとは逆行する無駄遣いではとどこか落ち着かないものを無意識のうちに感じていた。

「あ~、それね。マニラには多いからね、BPOが」
何気なく話す友人のひと言で、今日その正体がわかることになろうとは。
BPOとは、Business Process Outsourcing のこと。業務の一部をアウトソーシングしている企業のことを聞いたことがあった。発注する側は米国の企業、アウトソーシング先の会社がフィリピンとインドに多いという。同じ英語を話す国でもマレーシアなどはあまり聞かない。やはり国民の大多数が英語を話すことに加えて人件費が安いことが理由らしい。特にフィリピンは、「アメリカ英語」を話すので米国企業から人気。ちなみに時差の違いはあまり問題なく人件費の安さで決まるとか。
「1時間10ドル(米国)と1日10ドルだったらどちらを選ぶ?1日20ドルでもフィリピンに外注するでしょ、会社だったら」
アウトソーシングも顧客対応やデータ入力が多いらしく、その友人(米国人)も米国の銀行に電話をしたつもりが電話に出た相手がマニラで話していると聞き、拍子抜けしたことがあるとか。そういえば以前、会社が業務の一部をマレーシアにアウトソングを始めていたが、それも日本に比べて人件費が安いからだった。

Uberの運転手も夜1時まで働くと話していた。そんな時間に乗客はいるのかと思ったら、それがマカティやBGCには多いらしい。そもそも夜3時でも街中ではUberを呼ぶ女性客が多く、これもBPOで働く人が多いからだとか。そこまでして働くフィリピン人がいることもやや意外だった。家族大好き、買い物大好きのフィリピン人は、仕事はそこそこに済ませて定時に(そもそも定時という感覚があるのかも疑問だが)なれば潮が引くように帰るものかと思っていた。

中学生の頃、英語の教科書に載っていた話が「ニューヨークは24時間眠らない」だった。その時は子供心にそんな街があるのかと思ったが、まだ日本でも24時間営業のコンビニが出てくるのはまだ先だった(7-11は文字通りの営業時間だった)。どうやら今や、24時間眠らない街はニューヨークだけではないらしい。

謝罪すること


小池都知事になってから、東京都の関連のニュースがフィリピンにまで届いてくる。これまでの知事は何をしてきたのだろうという問題はここではおいておく。今日は、謝る行為について。

以前、東京オリンピックの会場変更をめぐって、日本側が国際オリンピック委員会(IOC)に謝罪する一幕があった。謝罪していた日本側に対して、「謝る必要はない」とのIOCのコメントが対照的で印象的だった。

調べてみると、以下の記事が出てきた。
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国際オリンピック委員会(IOC)は2015年7月29日、クアラルンプールで理事会最終日の審議を行い、2020年東京五輪大会組織委員会の森喜朗会長らが、メーンスタジアムとなる新国立競技場の計画が白紙撤回となったことを説明し、了承された。森会長は「率直におわび申し上げたい」と謝罪した。
森会長によると、開催経費削減を柱とする改革を進めるIOCのバッハ会長は「おわびすることは全くない」と返答し、「変更は当然あるべきこと。いい方向にもっていってもらいたい。そのための協力はする」と答えたという。(
7月30日東京新聞、より)
=====

このニュースを聞いて、なぜこの段階でIOCに謝るのだろうと違和感を抱いた視聴者もいたのではないだろうか。主な税負担者での都民に至っては「その負担をまた都の財政に依存しようとしていたわけね」と呆れるやら憤懣やるかたない思いだったとしてもおいかしくない。ぎりぎりまでオリンピックの工事が完成しなかったリオなど、それでも直前まで工事を続け、遅延に対して謝罪する気配のかけらも見せなかった。それでもオリンピック開催後は大きな支障はでなかったではないか。

概して日本人は謝り過ぎだと思う。謝る姿勢をよしとする文化背景があるのかもしれない。もっと言えば、謝れば済むと思っていないだろうか。謝る意味合いが国によって全然違う国々と仕事を進める場合、謝罪が本当に必要なのだろうか。いまの国際社会で、やたら国として謝罪する姿勢はリスクを伴うし、国益に反するとさえ思えてくる。「日本人はすぐ謝るからね、だますのもちょろいぜ」と思われていたとしても不思議ではない。

前からうすうす感じてはいたがそれが確信に変わりつつあるのはフィリピンに住み始めてからのこと。

フィリピン人は(というか私の周囲のフィリピン人は)とにかく謝らない。仕事で明らかにミスをしても、やるべき仕事をしないで問題が起きても、原因の超本人は謝りどころか何もなかったかように涼しい顔をしている。日常の簡単な場面でも同じ。たとえば、コンドミニアムやオフィスビルのエレベーター。しまりかけたドアをボタンを押して慌ててあける(いかにも滑り込みセーフという感じで)→ドアが開く→押した当人が気がかわったのか間違えたのか乗らない→明後日の方向をむいたりそ知らぬふりをする。レジで店員かおつりを渡す→一見しておつりの額が違う→おつりを受け取った客が指摘する→okay、no problem と間違えた側が言っている。no problem じゃないよ、と思う客は私だけではあるまい。

まるで「謝る」という言葉が存在しない、その場面をみたことがない。彼らの辞書にないかのように。これをずっと不思議に思っていた。一つの説明が、「フィリピン人はプライドが高く謝らない」というもの。しかしこれが説明になるだろうか?プライドが高いのは、他の国や民族でも同じだ。ベトナムだって中国だってインドだって、もちろん日本にもそういう人はいる。謝らない人も等しくいる。それでも違うのは、非を認めて謝る人も一定の割合で存在するということだ。これがフィリピンにはない。少なくとも見たことがない。

先日も、念を押して7月末から頼んでいたある仕事が9月上旬になって全く進んでいないことが発覚した。割と簡単な仕事なのだが、毎週進捗を確認しても大丈夫だと話し、しかし締切の当日、本人がほかの人に投げて情報共有がされないまま休みに入っていた。事態が収拾した後も悪ビレもなくしている。状況を知った彼女の上司A(フィリピン人でない)が謝罪に来た。「この仕事は彼女がするから我々に任せて」とAに言われ心配ながら静観(といっても週一は状況をチェック))していた私としては、呆れてものがいえない。

また在比の長いある人によれば、謝らない理由を「親に叱られたことがないのに、他人に叱られるなんて耐えられない」からだという。本当だろうか。この世に叱らない親がいるのだろうか。これが本当なら、罪作りな親である。にわかには信じがたいところだが。「これまでいろいろな国で働いてきたけれど、フィリピン人は一緒に働くにはもっとも難しい部類に入ると思う」とある人が言うと、賛同者が次々に出てくる。う~む、アウェイの私としてはもう少し観察してみることにしよう。
プロフィール

Sainah

Author:Sainah
仕事&興味:途上国と開発援助 [セクター] 農業・自然環境・生態系
少数民族、伝統文化、科学・技術、時間管理、組織マネジメント、外国語(☜ 日本語とあわせて日々奮闘中)、海より山、温泉、古いもの好き、ABBA、中島みゆき

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