コルコタのバス


ダッカでオンボロ・タクシーに揺られながら、私はコルコタでの半日を思い出していた。

あれはちょうど2年前のこと。インドのシッキムからの帰り、コルコタで8時間ほど待ち時間があった。その時一緒だった3人。うち、一人は空港で休んでいるという。そこで、ぜひコルコタの街をみてみたいというY先生と連れ立って町へ向かうことに。はやる気持ちをよそに、ちょうど祭日だったこともあり車はなかなかみつからない。そこへやっと一台、値段交渉も済んで車に向かう。

ところが一目車をみたY先生、即断して曰く、
「いや、この車は止めた方がいいですよ。こんな車、20年前の日本だってお目にかかれませんよっ」
いや、40年前の間違いでは?とつっこみをいれてみたくもなるのだが、とにかく目的は空港からコルコタ市内へ向かうこと。
「あのぅ、コルコタ市内に行きたいんですよね?」
改めて先生にも水を向ける。
「そう、でもこの車ではいやです。これじゃ命がいくつあっても足りない」

それなりに結構きれいでそれほど悪くもみえなかった車だが、Y先生は断じて首を縦に振らない。仕方がないので手持ちのガイドブックを開くと、Dum Dumという駅まで行けばそこから地下鉄が走っていることがわかる。市の中心までも20分もあれはつきそうだ。問題はそのDum Dumまでそうやって行くか、だ。選択肢は唯一

ローカル・バス・・・

そりゃあもう、インドの街を走るローカルバスのオンボロ度など、先ほど断りの憂き目に合ったクルマとは比較にもなりません。
「車でいかないとなると、ローカルバスになりますが、ホントにいいんですねっ?、ねっ?」
その日は大きな祭りの日ということもありタクシーすら滅多につかまらない。なのにあの、おそらく唯一の車を断った私たちに、もはや選択肢はない。それでも、あのきれいな車を断った先生の覚悟の程だけは確認しておきたかった。
「もちろんいいです」
この期に及んではそう答えるしかあるまい。

そこで空港から少し歩いて、人に聞きながらバスの通っていそうな通りに出てみる。そこで歩いていたインド人紳士に乗るべきバスを聞くと、たまたまその駅まで行くという。程なくしてバスがやってきた。そのローカルバスは、ドアはもちろん開いたまま走るし、体半分を外に出している少年(車掌代わり?)に料金を払うことになっている。それがまたいくらかわからないので、紳士をみようみまねに小銭を払う。一方、きれいな車を断ったY先生はローカルバスに乗れて何だかうれしそうだ。適当に写真をとってあげると笑顔満面になっておりまぁよかったこと。20分ほど乗っただろうか、そのインド人紳士に手招きされ、バスから降りれも「ついてきなさい」と足早に歩き始め、Dum Dum駅まで道案内をしてくれる。その間の5分、それだけでもインドらしい活気と多言語、そしてカオスの入り混じったすごい道を通りながら(ひぃ~と心の中で叫びながら)、小走りにひたすら紳士の後を追う私たち。電車ひとつに乗るにも窓口の切符ひとつ買うのも行列だ。だがその割には意外に早くさばけてチケットを買い、電車に乗る。結局空港からトータル1時間くらいで街中に着いた。車だと2時間と言われたので、時間のない私たちにとっては結果的にローカルバスは正しい選択だったことになる。それから暗くなるまでコルコタの街を散策し(というような美しいものではなかったが)、夜になって空港に戻る。

そんなことはすっかり忘れていたのだが、ダッカのオンボロタクシーを前にしてコルコタの空港で断った「きれいな車」 がにわかによみがえってきた。しかも偶然、Y先生から最近メールが届いた。

「お元気ですか?コルコタのバスのアドベンチャーは忘れられない思い出です」
はい、私も忘れられません(笑)。

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プロフィール

Sainah

Author:Sainah
仕事&興味:途上国と開発援助 [セクター] 農業・自然環境・生態系
少数民族、伝統文化、科学・技術、時間管理、組織マネジメント、外国語(☜ 日本語とあわせて日々奮闘中)、海より山、温泉、古いもの好き、ABBA、中島みゆき

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