ダッカ考

ダッカでは、交通渋滞がなければ、との枕詞を聞かない日はない。
朝9時から夜9時まではまず渋滞である。しかもダッカの渋滞は単なる渋滞ではない。大型バスに乗用車にリキシャに自転車が入り組んでいて、そこを人が横断するだけでなく物売りや物乞いの人、子どもまで参入している。これで渋滞しない方がおかしい。そう考えれば、日本の渋滞なんてかわいいもの。日本の渋滞がTraffic JAMならバングの渋滞はTraffic Chaos ではないか。

ところでダッカにも来年オープンの大きなショッピングモールが建設中である。一方で、都市部にはスラムや物乞いが跡を絶たない。そもそも、都市開発よりもインフラ整備よりも、まずは道路整備や交通整理をすればいいと思うのだが、バングラディシュの人々は政治家をハナから信じていないことが言葉の端々から容易に伺える。たとえば、横断歩道があっても意味がなさそうだが(この調子では、横断歩道があっても誰も通らないだろう)、歩道橋を作るのはどうだろう。(私の勝手な想像だが、この国ではどうも都市よりも農村から安定し発展していく予感がする。)



ダッカにいる間、日増しに感じていたのは、英国の影響だった。200年間の宗主国だから不思議ではない。それでも、インドでもマレーシアでも感じないイギリスの影を感じた。それが何かはわからないけれど。今でもDFID(英国開発庁)の関与は非常に強い。そのうち思った。この国で出ている世界地図を買い求めたい。英国の影響下で作られてきた地図は、いかなるものなのか、という思いもあった。アジア女子大学にあった地図を見てその思いは強まった。調べると、ダッカで大きな書店に行けばあるという。そこで目指すはWord ‘n’ Pagesという大書店。ダッカの書店をみてみたかったこともある。

午後は空港に向かうので、朝の2時間ほどしかないが、運転手に頼んで連れて行ってもらうことに。ところがその書店。場所がウェスティンホテルのすぐ隣のはずなのだが、行けども行けども周辺には番地すら見当たらない。仕方なくホテルの人に聞くと、あっさりと「さぁね、知りません」という。そこを歩きかかったビジネスマンに聞くと、その本屋は移転したと移転先を教えてくれる。もう一度私だけでなく運転手に話してもらい、懇切丁寧に説明しているかにみえた(実際、そうだと思った)。しかしそこへ着いてもやはり「本屋はここにない」といわれる。洋服や貸衣装屋のような店構えで、いかにも書店がなさそうなつくりではある。再びみたび、運転手は大またで歩き始める。歩きながら誰にでも聞くわけではない。聞く人を選んでいるかのようだ。

今この場で書店に電話をすればいいではないか、と言ってみたがなかなか首を縦に振らない。散々歩き回った挙句の果てに、運転手は遠い目をして、はき捨てるようにつぶやく。
この国では誰も何も知らない。誰に何を聞いてもなにひとつ確実な答えは返ってこない。誰に聞いても100%確実にわかることはまずない
きちんと知らないのならなぜ答えるのか、と私など思うのだが、とにかく人に聞けば聞くだけ混乱することは確かだ。となれば、自分で調べて自分で確認するしかなさそうだ。
「ともかくいろいろと尽力してくれてありがとう」
「書店が見つからなかったのにお礼なんてフシギですね」

後で調べるとその本屋は遠く離れた別の地区に移転していたことがわかった。その本屋に行くには、ダッカの渋滞を考慮すれば半日はみておかなくてはならないことも自ずと明らかになった。地図はどこでも手に入る。しかし、次のダッカに来ることがあればその書店に必ず行こうと決めた。

日本に来た外国人は、日本人は親切だといって一様に驚く。私にいわせれば、彼らを驚かすのは、何も「親切に」道を教えるのではなく、誰に聞いても高い確率で「正しく」教えるからではないだろうか。

不確実性 UNCERTAINITY ―これもまたダッカでよく聞いた言葉だ。このUNCERTAINITYこそがまさにバングラディシュの抱える二つの問題、つまり社会と気候変動の共通点でもある。

それでも私は、この国にひとすじの希望の光を見出している。とくに人材面で。

たとえば、1日に何度も電気が切れていた。最後までそうだった。でもすごいのは、ほとんどの場合、1分としないうちに復旧することだった。これは、30分から2時間は覚悟するのが普通のラオスではありえないことだった。これでラオスとバングラがどうというつもりはない。しかし、途上国という言葉だけではくくれないリソースを、潜在性を、どこか私は感じている。今、有能な人材が母国に戻り始め、また国内でも人材が育っていくことを期待したいと思う。



そして、だからこそ、日本は、日本人はもっと力を発揮できると信じている。

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プロフィール

Sainah

Author:Sainah
仕事&興味:途上国と開発援助 [セクター] 農業・自然環境・生態系
少数民族、伝統文化、科学・技術、時間管理、組織マネジメント、外国語(☜ 日本語とあわせて日々奮闘中)、海より山、温泉、古いもの好き、ABBA、中島みゆき

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