ななくさ
ななくさ
水上不二
「ななくさ、なずな
唐土の鳥が、
日本の土地にわたらぬさきに
すっとんとんのとんとん。」
ふしおもしろく、いもうとが
たたきはやした草のかず。
つめたい雪をわけながら、
きのう、ふたりでつみました。
なずな、だいこん、ははこぐさ、
春の田に咲くれんげそう、
すずなのみどり、
せり、はこべ。
「土のおなべにしましょうね。」
「あわのおもちをいれましょう。」
春のにおいもほのぼのと、
ななくさがゆがにえました。
何かゆかしい空の雲
遠い昔を思います。
なにかとうとい海のこえ
あすの世界を思います。
(ここまで引用)
ふと見たこの詩を読みながら、
ひらがなでも漢字でも表現できる日本語の便利さと美しさを想う。
とくに最後の節はもう、日本人感性の全開モードです。