スピーチ

京都から戻ってきました。ずっと缶詰で街の雰囲気を味わうことはあまりなかったのですが、やはりあちらこちらで卒業式だったみたいですね。

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さて、日本の卒業式でと対で思い出すのが、米国の卒業式。米国で卒業式といえばガウンとスピーチ。
アメリカ人は(*1)、スピーチが好きである。スピーチを聞くのも、するのも、話題にするのも、大好きなのだ。予備選から大統領選や政治の話題があれだけ盛り上がるのも、スピーチ効果が大きいのではないだろうか。

私のドームメイト(同じ寮の住人)で、政治学専攻の大学院生が二人いた。彼らは、当時まだ上院議員だったヒラリー・クリントンがスピーチ前にテレビに映るだけでワクワクすると興奮していた。そしてスピーチが始まるまでヒラリーのどこがいいのかを主張し合い、惚れ惚れとした目つきでスピーチを見入った後、あのスピーチはどうだった、とかあそこがツボだったとか、スピーチ談義を続けるのだ。スピーチを聞くだけで今宵はハッピー!といわんばかりだった。

その影響か、私もスピーチを聞くのが好きになった。英語の勉強がてら最初に聞いたのは、とある大学の卒業式に招かれたバーバラ・ブッシュ元大統領夫人のスピーチだった。それまでスピーチとは政治家のするものかと思っていたが、私はすっかり彼女のスピーチにしびれてしまった。いいスピーチとは、聴く人を鼓舞させるだけではない、どこかしんみりとした余韻やユーモアを含み持つ。そして人の気持ちを和らげる不思議な魔法の力がある。

米国の卒業式は新緑の5月である。卒業式に祝辞スピーチをするスピーカーに選ばれ招待されることは、ちょっと名誉なことらしい。スピーカーを選ぶのは卒業していく学生である。私のいた学校ではスピーカーの決定プロセスはこうだった。
・ 2~3月頃、スピーカーに呼びたい人のアイディア募る、と卒業式担当の学生からメール
・ この人の話なら聞きたいと思う人がいれば、自由に名前を書いて提出
・ 担当がリストを作成し(*2)、ひとり1票を投じる
・ 多数決+予算との兼ね合い、で決定

ちなみに、残念なことにリストが残っていないので正確には覚えていないが、15人くらいは名前が挙がっていたと記憶している。著名人や在籍の大学の先生もいれば、知る人ぞ知る、みたいな評論家もいた。私がよく覚えているのは、まだ『不都合の真実』で有名になる前のアル・ゴア元副大統領と進化生物学者のスティーブン・グールドだった。グールドに会ってみたい!と単純に思った私(←元生物学科出身、一応)は、迷わずグールドに投票。だが、当時彼は病魔と闘っていたのだ。おそらく選ばれても来られなかっただろうと、あとで漏れ聞くうちに彼の訃報を聞く。結局その年のスピーカーは、ワンガリ・マータイさんだった。彼女はちょうど、客員教授で半年ほど米国に滞在していたのだ。これまたノーベル賞で有名になる数年前のことである。本当に人を惹きつける話が上手な彼女は、瞳とアフリカン・ドレスがきらきら輝いていた。


*1 一般化するのは極力避けたいのだが、この場合は、アメリカ人はといっても的外れではないと思う。
*2 基本的にだれでもいいのだが、ここでリストに残るのは招聘代など予算の関係もあるのでやはり北米在住の人になるようだ。もちろんちょうど会議でその時期米国に来ている、という理由ならアリかもしれない。だが、米国で5月の会議は少ないような気がする。



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Sainah

Author:Sainah
仕事&興味:途上国と開発援助 [セクター] 農業・自然環境・生態系
少数民族、伝統文化、科学・技術、時間管理、組織マネジメント、外国語(☜ 日本語とあわせて日々奮闘中)、海より山、温泉、古いもの好き、ABBA、中島みゆき

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