空海について


展示をみながらその非凡ぶりが際立つ空海――いったいどんな人生を送ったのだろう、と今さらながら思いました



讃岐に生まれた空海は幼少時から聡明利発、一族の期待の星だった。15歳で上京、官吏養成機関に入り、当時でいう大学に合格。そのまま出生栄達の道を進むはずが、大学での生活に満足できず中退。山岳修行者の仲間に入る。この時点で、すでにアウトロー入り(官憲の取り締まり対象にもなっていた)というから、当時の世の中は自由人にはさぞ厳しいものだったようだ。フリーの僧侶だったが、その頃に出会った奈良の高僧の影響もあり、本人の修行と勉強も甲斐あって、31歳の時入唐する人材に推挙される。
≪学校になじめず、自由に生きて才能を開花させているうちに誰かの目に留まる―これはもう、エジソン、ダ―ウィン、といった天才の宿命というかよくあるパターンか≫

遣唐使船の第一船に乗り込み、第四船には天台宗を開いた最澄が乗っていた。しかも最澄は還学生(げんがくしょう)で、空海は留学生(るがくしょう)の立場。還学生は外交使節扱いで、所定の要件が終わればいつでも帰国できる。一方、留学生は20年間、唐にとどまり勉強することが義務付けられている。
≪いつでも帰国できる、と簡単に言うが遣唐使の時代。日本から唐に当時の船で行く大変さは容易に想像できよう≫

その頃、中国で真言密教の頂点にいたのは恵果という人物。恵果には数千人の門下生がいたが、唐に到着して面会に来た空海に初めて会った時、恵果は「これぞ長いこと待ち望んでいた弟子」と涙を流して喜んだという。そのため、中国人僧侶にも教えなかったとも余すことなく空海に伝授し、空海の在唐中に亡くなった。空海は、中国人の弟子たちを代表して弔辞を述べたという。
≪思えば、空海は、中国語(漢文)を書けただけでなく、しっかりと中国語を話せたということ。恵果の高尚な教えを漏らさず捉え、中国人弟子に教えなかったことまで理解し、覚え、口頭で再現できたのだ。それだけで天才ぶりが伺える。≫

興味深かったのは、20年唐にいる命を受けた空海が2年で戻ってきたことである。
≪恵果の死後、残された僧侶との人間関係もあり、恵果存命中は愛弟子だったもののやはり外国人、得るものは得た、との思いで帰国を決意したのではないだろうか。しかも唐から戻る最後(だったかもしれない)の船に乗らなければ、阿倍仲麻呂よろしく日本に戻れなかったかもしれない。そもそも、当時は唐は行くだけでも命がけ、大変な国家事業だったはず。そこへ留学生を送り込んで20年は滞在するように、と命を出す感覚もある意味すごい。当時は2年でも十分長かったと思うのだが20年とは長い。空海が得たものをどうやって日本に還元しようと考えたのだろうか。スケールの大きい発想なのか向こうみずなのか。空海が唐から早めに帰国することも当然、想定済みだったと思うのだが。ただまさか2年で戻るとはと想像しなかったかもしれない≫

この2年での帰国が当時、死罪にもなりかねない大罪だったというから、空海の度胸が伺えるもの。空海が唐から持ち帰ったものを無駄にできないとの判断で、空海は九州で4年間謹慎の身となるが、嵯峨天皇の即位とともに謹慎が解かれ入京。その後は、最澄や天皇貴族までもが空海の教えを受けにきたとか。
≪おそらく空海は達筆で頭がよかっただけでなく、話も(今でいうパフォーマンスも)格別にうまかったのだろう。非凡な人というのは、驚くほど当たり前のように何でもできちゃうもの≫

帰国後12年目の818年、空海は高野山の下賜を願い出て即座に認められ、高野山の建設が始まる。空海は、唐に渡る前から真言密教の修行の地として高野山と決めていたようだ。となると、空海は唐に行く前から、しっかりとしたビジョンをもっていたのだ。



去年、高野山で、お坊さんたちが「弘法大師様」と口にするたびに、感じられた尊敬のまなざしの背景が、少しわかった気がしました。今になって。。。

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Sainah

Author:Sainah
仕事&興味:途上国と開発援助 [セクター] 農業・自然環境・生態系
少数民族、伝統文化、科学・技術、時間管理、組織マネジメント、外国語(☜ 日本語とあわせて日々奮闘中)、海より山、温泉、古いもの好き、ABBA、中島みゆき

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