小躍り

はるか昔の高校時代(授業中 ^^;)に読んだ本の多くは忘れてしまったが、今でもはっきり覚えている本が数冊ある。その1冊が、藤原正彦氏の『若き数学者のアメリカ』だった。

私は科学者の書いた本や科学に関する本が好きでよく読んだものだが、数学者の本はあまり興味がもてなかった。それだけに、どちらかというと「ついでに」読みかけたはずのこの本を一気に読み終えた時は感動し、素直に面白いと思った。なぜ、感動したのだろうか。ひとつには、数学者も文章を書くのだと知り、またそれを新鮮に感じたこと。これは、今思うまでもなく当たり前のことなのだが、若気の至りとして赤面しながら思い出す。またこれは後年になってのことだが、彼の愛国心や時折顔を出す「急性愛国病」が、私には妙に共感できてしまうのだ。今まで自分でも、「おっ、出てきた急性愛国病」と苦笑してしまう瞬間が一度ならずともあった。そして、その度にそれを野放しにしたり、もぐら叩きのごとく隠そうとしたりと躍起になっていたことを、告白しなければならない。

ともかく「数学者がものを書く」とわかって以来、書店に足を運ぶとたまに藤原氏の本が出ていて、その度に購入しては楽しんだ。サウダーデについて初めて知ったのも、そんな1冊に収められていたエッセイ「父の旅 私の旅」だった。藤原氏のご尊父新田次郎氏は小説『孤愁―サウダーデ』を新聞連載中に帰らぬ人となったという。遺された新田氏の取材ノートを携えて、生前のポルトガルの旅を追い、サウダーデに対する想いを綴ったのが「父の旅 私の旅」だった。このエッセイを読んだ時、きっと『孤愁―サウダーデ』はご子息の藤原正彦氏によって完成をみるのだろう、そうでなければならない、と思った。そのうち、早く読んでみたいと思うようになっていた。

藤原先生の退官講演があると文芸春秋誌上で知った時、定年後は、つまらない(?)頼まれ仕事をするのではなく、もっともっと書いてほしい。人の人生なのに大変恐縮だが、勝手にそう思っていた。すると今月の文芸春秋で収録された講演では、執筆活動を続ける、とあり胸をなでおろした。
さらに
「それからもうひとつ取り組みたい作品があります。父が亡くなるまで毎日新聞に連載していた『孤愁―サウダーデ』です。未完成の絶筆となりました。(中略)父の無念を受け継ぎ未完成だった後半部分を私が執筆して、亡くなって三十年になる来年に刊行させたいと思っています。」
(2009年5月号文芸春秋「父・新田次郎の背を追って」より)
とあり、小躍りした次第。来年に出るということは、既に構想は練っており、もしかして書き進めているかもしれないではないか!





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プロフィール

Sainah

Author:Sainah
仕事&興味:途上国と開発援助 [セクター] 農業・自然環境・生態系
少数民族、伝統文化、科学・技術、時間管理、組織マネジメント、外国語(☜ 日本語とあわせて日々奮闘中)、海より山、温泉、古いもの好き、ABBA、中島みゆき

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