大学のビジョン


先日、英国の大学関係者と話す機会があり、入試の話になった。

欧米の大学、とくに英国や米国はそうなのだが、いい大学であればあるほど寄付を募るいわば Fundraising の活動が活発で、大学を経営していく際の重要な仕事の一部になっている。それでも入試は完全公平性で選抜していく。多額の寄付納税者の子息や関係者を優遇することは一切ない。例えば、米国の一部の大学にみられるように、多額の寄付をした有力政治家等の子息子女が入学している私立の大学があるが、かの英国の大学はそういう特別措置は最初からしませんと内外に宣言している。

そこでふと思い出したのが、昔NHKでみたオックスフォードのドキュメンタリーだった。入試は書類選考出の選抜があり、そのあと面接を徹底的にするのだがその質問がまたふるっている。

例えば、幼少時からバイオリンをしてきたという少年には、「バイオリンの形はどうしてこうなっていると思いますか。構造についてあなたの考えを説明しなさい」という質問が向けられる。また将来、医者になりたいというインドの少女には、「伝統医学の可能性についてどう考えていますか。ヒマラヤ医学の知識を用いて答えなさい」と現役の大学教官が質問するのだ。相手が高校生といえど、そこには一対一の真剣勝負でもある。将来、オックスフォードの教育を授けるに足る学生の選抜にかける教官の意気込みと、費やすエネルギーの大きさを感じた。これはそのまま、これからの「のびしろ」を感じる学生を獲得しようとする大学の強い意識の表れでもある。大学の先生も、面接のやりとりが楽しくて仕方がないのではないだろうか。

英国の大学は、有名大学でも(だからこそ)かなりの熱意とエネルギーで米国の諸大学ともしのぎを削り学生を獲得しようとしているのに、日本の大学はペーパーテストのみでの選抜となる。これまでそれでやってきたと言えばそれまでだが、真の国際化を目指すのであれば入試制度を見直してもいいはずだ。東大の秋入学を皮切りに、そういう議論が起きてもよさそうだが、大学教員の負担増加など言い訳にもならない言葉が飛び出すことも想像に難くない。

そもそも、本当にいい人材を得るには大学でも会社でも同じで、もっと手間ひまかけるべきなのだ。逆に言えば、日本社会は人材の採用や発掘にそれほど時間もエネルギーもかけていないようにみえる。型どおりの履歴書や語学力の判断がTOEICだったり、といったい何を見ているのだろう。もっとも、適切な人材採用ができる人も意外と少ないのではないかとさえ思えてくる。なぜならそれだけの選抜をするには、それなりのビジョンが必要だからだ。ビジョンがあって初めてこういう人材をほしい、だからこういう方法でこういう問いを向けて、となる。政治家ですらビジョンなきと揶揄される時代だが、対して大学や大学で働く教官はビジョンをもっているのだろうか。

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Sainah

Author:Sainah
仕事&興味:途上国と開発援助 [セクター] 農業・自然環境・生態系
少数民族、伝統文化、科学・技術、時間管理、組織マネジメント、外国語(☜ 日本語とあわせて日々奮闘中)、海より山、温泉、古いもの好き、ABBA、中島みゆき

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