イダとの再会

今日の夕食は友人と、のつもりで朝からいた。会議で日本に行くことになったと、インドネシアの友人イダからうれしい連絡があったのは1か月以上前のこと。イダに最初に会ったのはマレーシアでのワークショップだった。その後、インドネシアで彼女の自宅にも招かれたのは2008年だったか2009年だったか。かれこれ4年ぶりになる。

旅行好きの彼女だけに、今回は初めての日本滞在をおそらくかなり楽しみにしていたはずだ。一方私はやや早めに仕事を切り上げて、夜の7時前に彼女の宿泊先に向かう。久しぶり会うや否や、すかさず曰く、
「夫も来ているのよ。今から5分ほどお祈りするから。その後出かけましょ」

そう、イダはイスラム教だったのだ。そういえば昔、メッカにいったことを得意気に話していたことを思い出した。メッカにいったことを名刺にまでのせており、そもそも名刺上に書かれたメッカ巡礼経験がいったいどういう意味をもつのか、当時の私にはピンとこなかった。が、メッカに行ったことがモスリムの彼らにとって、おそらく人生の一大事、一家の誇りなのだろうということは想像に難くなかった。

ほどなくして二人でお祈りを始めた。ひとり待つ身としては、さりとて特段やることもないので部屋のテレビ音をミュートにしてみる。見るともなく目をやると、旦那さんが祈りの文句を唱え、イダはその後ろで祈りのポーズをとっている。まさに夫唱婦随だ。

祈りが終わると、
「日中は会議で私たちは外に出ていない。特に、夫は毎日ずっとこの部屋にいるから、今からどこかに連れて行ってもらえないか」
急にいわれても、時計をみれば夜の7時半である。まさかスカイツリーだろうか。いや、スカイツリーは7月まで予約でいっぱいと聞いた。などと勝手にあれやこれやと頭を巡らせる。

夜だけれど何かみたいものがあるのか尋ねてみる。
「何でもいいから外の世界をみたい。例えば電車に乗ってみたい。お腹はすいていないから食事は要らない」
そう、彼らは食事もベジテリアンで、インドネシアからかなりの食べ物を持ってきて部屋中に置いているほどだ。対してかなり空腹の私(汗)。ともあれ、そこで来る途中、近くにバスが停まっていたことを思い出し、まずバスに乗ろうと提案すると大喜び。行けば途中にハトバスが停まっている。
「あのバスね?」
「いえいえ、あれは都内の観光バス」(なんでここにいるのか、まぎらわしい・笑)とその向こうに停まっていた都バスに乗る。

都営バスでお茶の水駅まで行き、そこから中央線で新宿に向かう。早くもバスと電車を経験して二人は大喜びだ。ついでに切符も自分で買わせてみる。一万円札しか持っていないようなので、駅で切符を買う際に大きいお金を使って両替できることを話しておく。海外の国では自動販売機は壊れていることが多いが、日本では自動販売機が壊れている方が珍しい。しかも自動販売機でも切符を買う機械でも間違いなくおつりが出てくるとはすごい、とイダ。

新宿では東口のにぎやかな場所を歩き、少し道を入るとちょっとしたスペースとベンチが目に入る。そこに満腹という二人を座らせて、空腹の私は夕食を買いに行く。バーガーキングでテイクアウト。まさか今日の夕食がハンバーガーになるとは苦笑しながらワッパージュニアを注文。ベンチに戻ると二人はお茶を飲んでいる。そこで夜風に吹かれながら、あれこれおしゃべりをする。二人とも初めての日本で、いろいろ知りたいらしい。あれやこれやと、質問が途切れることなく出てくる。
「夜でもひとりで歩いて大丈夫なのか」(そりゃもう、それが日本の誇れるところ)
アメリカでは大学でも女性は駐車場までポリスを呼んでエスコートを頼まなくてはならないけれど、日本ではそういうことはない、と言うと驚いている。もっとも驚いているのは米国の事情についてだったようだ。

「ここの通りは何時まで人がいるの?」(新宿だし夜の11時じゃまだ相当いるでしょう)
「お店も閉まっているのにみんな何しているの?」(知らない、飲んだ後に夜風に吹かれているのかな?)
「電車は何時まで走っているのか」(どこ行きの電車かにもよるが、夜の12時前くらい?)
「住宅街はどこにあるのか。ここからどのくらい離れているのか」(それはもう、住んでいる地域による)
「朝何時から夜何時まで働くのか」
「夜6時以降も仕事をすることがあるのか?」(まあある)
「メイドがいないなんて、日本の働く女性はどうやってやりくりしているのか」(その通り)
加えて曰く、「インドネシアではメイドは月5000円、ドライバーは月1万円で雇えるから雇わないワケないでしょ」といって私を羨まがらせてくれる。

そういえば面白いことも話していた。
「日本のおじさんは毎日お酒を飲み、酔っ払っているのは本当か?」
その理由が、インドネシアにいる日本人男性はいつもお酒を飲んでいるというのだ。それは一年中暑いのと開放感で、ビールを飲んでいるではないか、日本ではビールはアルコールにも入らない、と適当にお茶を濁しておく。

「日本人はどうしてこんなにスリムなのか。日本人だけじゃない、韓国人、中国人はどうしてやせているのか」
公共の交通網が発達しているから、日本では歩くことが多い。実際、通勤なら車運転より電車の方が時間通りだしラク。日本で4年過ごして東京での生活で歩き続けてスリムになったオーストラリア人の話をしたら、「私も東京に住んで痩せたい」と真顔で言い出した。意外と、3月11日の地震についてはあまり聞かれなかった。津波も地震もある国から来たためかもしれなかった。

その後、新宿駅に向かいながらもう少し歩きたいと言うので、新宿東口から南口を通り、西口から都庁方面に出る。何でも新鮮らしく、新宿で何枚の写真を撮っていたことか。言われるがままにカシャカシャとシャッターを切る旦那さんもすごい。年に3回は旅行するというイダ。彼女とは年齢も近いし境遇も似ている。明るいしちゃめっけもあり、幸せそのものにみえる。そんなイダでもふと話していた。
「問題のない人生なんてない。生きていればいろいろある、いい時期ばかりじゃないものね。」

イダでもそういうんだと思いつつ、妙にシリアスな表情で話すので聞き流すことにした。

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Sainah

Author:Sainah
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少数民族、伝統文化、科学・技術、時間管理、組織マネジメント、外国語(☜ 日本語とあわせて日々奮闘中)、海より山、温泉、古いもの好き、ABBA、中島みゆき

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