いまだに変化しない公教育


大津市の中学で昨年秋に起きた中学二年生の自殺の事件。報道からだけでもあまりにひどい、むごいことが起きていたかが伺える。今回たまたま公になったものの、ひたすら事件をひた隠しにしようとしてきた教育関係者の姿勢、度重なるいじめに対して見て見ぬふりをしてきた学校の態度は、まるで日本社会の陰の部分の縮図を見るようだ。

事件の起きた大津市の中学校と教育委員会の両方に憤りを感じる。特に、いじめの日時を特定することやどうしたら自殺を防げたかの考えを、あろうことか被害者の両親に求めていたというからあいた口がふさがらない。学校が把握できていない学校内の出来事をどうして親が知り得よう。遺族の心情を慮るどころか、自らができないことまで遺族になすりつける、これはまさに責任放棄と職務放棄そのものだ。これまでの対応ですでに、大津市の中学校全体が保護者の信頼を失いかけていることにいい加減、気づけばいいものを。

ここまで逃げの姿勢や意味不明の発言を公にマイクの前で繰り返す教育関係者を、半ば不可思議な思いで眺めていた。そもそも教育委員会とは何のために存在するのだろう。教育委員会の存在意義が自分が中学生の時から不思議だったがいまだにわからない。ただヒントを得たことがあって、10年ほど前のこと、某市の教育委員会と一年ほど仕事をする機会があった。その時は、教育委員会とは地方公務員である教員の人事上の理由で設けられた、と印象を受けた。だからか、会議を開いても会議にならない。公立中学の教師が市の職員や教育委員(=教育委員会に出向している教師、ということになる)に対して意見を述べることなどまずなかった。またある時、雑談中だったと思うが、30代の先生が「巷では、最近の教師は労働者になってしまった、と言われるけれど、そもそも教師は労働者なんです」と言い放った。昔のように生徒のためならすべてを投げ出す教師などいない、我々教師は各都道府県との雇用関係にある労働者だ、という意図だったのだろう。内心そう思ったとしても教師の口から聞きたくない言葉でもあった。まあそんなものかとその時は思ったが、今ならこう言いたい。労働者なら労働者らしくもっと世の中の教育に対するニーズに敏感になれ、教師なら教師で自分の信念を示しつつ、もっと世の中の変化に貪欲に学び続けろ、と。教師としての軸や信念もなく、世の中のニーズや変化に気づいてもいない教師が増えていることを、ここ数年の学校をみてきた保護者として感じる。

考えてみれば、学校や公教育ほど、人間相手の仕事でありながら世の中のニーズや変化と組織(ここでいえば学校や教育委員会)の考えの乖離している業界はないと思う。またその乖離は拡大すらしつつある。様々な教育ニーズに伴い、教育サービス(塾、習いごと、私立校)もこれだけ多種多様なのに、公教育だけはこの30年ほとんど変わらないままきた。しかし世の中も個人も、子どもたちも親の姿勢も昔とは大きく変化している。学校側も、体制や先生の役割や先生に求めるものを見直すなど、時代の変化(しかも急激な変化)にそれなりに対応できるよう進化していく必要があるのだ。それが難しいのは、ひとつには先生の世界が外の世界とつながっていないからだと思う。前も書いたが、小中学校の先生には、若いうちに学校以外の勤務経験をぜひとも求めたい(過去ブログ)。先生自ら、世の中にはいろいろな仕事があり、いろいろな考え方、文化がある、ということを頭ではなく体で理解することが必要だから。そうすれば、子どもへの接し方も自ずと幅が出たり変化していくと思う。世の中、正解はないんだよ、人と違っていいんだよ、というセリフが自然に学校の先生の口から出るようになってほしい。自殺した男子生徒だって、そういう先生がいれば随分と違ったことだと同情する。

私も中学の頃、まわりの人と違うことをしては妙な風当たりを何度も感じた時期があった。いじめにこそあわなかったが(もしかしたらいじめられていたのかもしれないが)、負けず嫌いだったし、皆と違って何が悪いのかと半ば開き直っていたこともあり、どこか割り切っていた。そもそも明らかにクラブ活動での人間関係が要因だったので、学校生活の軸や楽しみを自然とクラブ以外に求めたのだろうしそれでよかったとも思う。それでも、ほぼ毎日あるクラブだったので、人と違うことをするとは何ともしんどいものだ、と中学生で実感したことを覚えている。
この際、生徒が学校生活での苦痛やいじめが原因と想定される自殺の場合は、学校の校長と担任は厳罰に処すくらいの法律ができてもいいと思う。例えば、「いじめの事実があるとは知らなかった」などと口に出す校長は、それだけで責任を問われるべきだとの覚悟と責務を負っていてほしいし、日常的に子どもに接する(=子どもに与える影響の大きい)先生も然りである。親からすれば、子どもを学校に預けるとはそういうことなのだ。

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Sainah

Author:Sainah
仕事&興味:途上国と開発援助 [セクター] 農業・自然環境・生態系
少数民族、伝統文化、科学・技術、時間管理、組織マネジメント、外国語(☜ 日本語とあわせて日々奮闘中)、海より山、温泉、古いもの好き、ABBA、中島みゆき

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