肝心のプレゼン
今回の出張は、とある会議への参加及びプレゼンであった。会議は2日半で、15~20分のプレゼンをすることになっていた。初めて参加する集まりであることもあって、ちょっと緊張していた。それだけに準備は入念とまではいかずとも、それなりにしたかった。
まずはこの、小野先生の講義に慶應大学に行ってみたことは前述の通り。外部のセミナーに参加したのも久しぶりである。それほど準備に頭を悩ませていたのだろう。
セミナーでのアドバイスに従って、わかりやすいストーリー作りを心掛けた。有難かったのは、用意したプレゼン資料に対して、職場の思いがけない方から適切なフィードバックを二度にわたりいただいたこと。フィードバックは自分の視点で見落としている点に対して向けられるのでとても勉強になり助かった。以前はフィードバックを受けないでプレゼンに臨んでいたこともあり、痛く反省した。後は練習あるのみ。
また小野先生も話していた通り、自信を持って話すように努めた。確かに、日本から一歩外に出ると、自信を持っているかのように話さないと、だれも耳も貸してくれない(たとえ万全の準備ができていない場合でも)ことがある。この集まりは30人ほどの参加だったが、どのプレゼンターを見ていても自信ありげに堂々と話すことがデフォルトのようである。裏を返せばハッタリでも堂々と話すくらいの気構えがあってちょうどよいくらいだ。
私には英語で話すと早口になる悪い癖がある(流暢に英語が口を衝いて出てくるわけでもないので、早口になるとタチが悪いというもの)。おそらく声は低い方だが響く声でも大きな声でもないので、努めてはっきりゆっくり話すように心掛けた。おかげでプレゼン自体は割とうまくいったと思う。初日にプレゼンが終わったのも有難かった。
そこで期せずして、一人の日本人女性Mさんにお会いした。Mさんは高校から米国に留学し、そのまま米国の大学に進んだ後、英国と米国で法律関係の仕事をしてきたプロフェッショナルである。日本人女性さながら細身ながら、話し方が堂に入っているし、何より話す内容に迫力がある。彼女が話すと、たとえそれがちょっとしたことでも一同耳を傾ける空気が流れていた。そういう空気を彼女が話しながら作っていた、といってもよい。こういう堂々たるしなやかさがほしいと、同じ女性から見ても実に眩しい方だった。

夜はローマに住む友人二人と再会、旧交を温めた。
二人とも何年来の友人だろうか。最初はインドの山奥で出会った仕事仲間だったのだが、数年後にあるプロジェクトを遂行するに当たりお互いが必要な時期が続いた。ひとつの仕事を共にやり遂げるということはある固い絆(あるいは信頼といっていいかもしれない)を生み出すことを、この二人は教えてくれた。
それぞれ年齢を重ね、人生にも少しずつ変化が起きているのに友情は変わらない。これはとても嬉しいことだ。
