雲南の歌姫

前回からやや時間が経ってしまいましたが、津軽に関連した話です(一応…)。

あるワークショップ(学会の分科会のような集まり)に参加したときのこと。ところは中国・雲南省。3~4日間のワークショップで中日にフィールドトリップをはさむ、典型的な構成だった。フィールドトリップの行き先は少数民族の地域周辺にある保全林。主催者のはからいで、ワークショップ参加者に中国の一少数民族であるイー族出身の女性が、スペシャルゲストとして呼ばれていた。ワークショップの公用語だった英語は解さず、中国語(しかも地域の方言と思しきことば)しか話さない彼女だが、サービス精神の塊のような人で、コミュニケーションをとりたい気持ちだけは前面に出ていた。だからか、思いっきり溶け込んでいた、というより最初から最後まで目立っていた。今でも民族衣装に身を包んだ、彼女の姿と表情が鮮やかに目に浮かぶ。

移動のバスには、15ヶ国以上の人々がいるのだ。それなりに話は進むが、それもある程度までのこと。バス3台に分かれた主催者がバスガイドを兼ねるわけでもない(この辺はひとによるようだ)ので、求心力はそれほどない。何より中日となると疲れも出てくるし、何となくみんな退屈していた。そんな空気が漂っていた車中で、突如、件のイー族の女性がエンターテイナーを買って出た。
「いいですか、みなさん。ここはひとつ歌いましょう。まずは私から歌いますからね!」
サービス精神を発揮して、少数民族の社会に伝わる歌とやらを何曲が続けて披露してくれる。そもそも最初から歌いたかったのだろうけれど、その勢いとはちきれんばかりの笑顔に、みな自然と引き込まれていき、手拍子が始まる。どこの国にも、ノリのよすぎる人もいればシャイな人もいる。でも音楽を楽しむ気持ちは洋の東西を問わず共通のようだ。

そうこうするうちに、彼女だけにマイクを握らせてはならじとばかりに、ほかの人たちが参入、車中はカラオケさながらの各国の歌自慢大会となる。とくに、東南アジア、インドやラテンの人はノリがいい。ひとりが歌うと呼応して、また別の人が歌い始める。どこからともなく司会者が現れ、国別対抗歌合戦ではないが、「はい、つぎ~インドネシア~」「はい、つぎ~フィリピン~」「はい、つぎ~オーストラリア~」と仕切り始めている。そんな~、私に来たらどうしよう、と思っていたら、やっぱり「はい、つぎ~ジャパーン~」と来た(!)。

もともと歌とはあまりに無縁であり続けた私のこと。マイクを前に一瞬、頭が真っ白になる。子ども自分の歌の歌詞しか思い出せない。しかし、こんな時、日本民族の誇りにかけても「森のクマさん」なんて歌えない。かといってほかの歌も思い出せず・・・。そこでやむなく、「津軽海峡冬景色」を歌ってしまった(!)。民族の誇りをかけるにしては情けない歌唱力だったが、まあ何とか日本らしく演歌で珍しい音調のせいか興味深々の眼差しを感じた(はず)なので、まあよしとしよう。でも、歌の意味するところはゼッタイに通じなかったと思う(爆)。そもそもどうして中国の秋に歌えたのか。思い出すだけでも恥ずかしい。

なにせ、こういう時はノリがいいのが一番、それとわかりやすい曲を歌うことだ。それも、リズムに乗れば相手が口真似したくなるような単純な歌がいい。できるだけリズミカルで簡単な歌だとさらにいい。インドネシアやオーストラリアの人は、簡単な歌で聴衆を巻き込むのがとてもうまかった。こういう時のために、効果的な持ち歌を用意しておくべし―これが教訓である。

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プロフィール

Sainah

Author:Sainah
仕事&興味:途上国と開発援助 [セクター] 農業・自然環境・生態系
少数民族、伝統文化、科学・技術、時間管理、組織マネジメント、外国語(☜ 日本語とあわせて日々奮闘中)、海より山、温泉、古いもの好き、ABBA、中島みゆき

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