稀勢の里
大相撲春場所が終わり一夜明けても稀勢の里の優勝で盛り上がっている。稀勢の里の人気は、久々の日本人横綱の登場に対する相撲ファンの喜び、期待が大きいことは明らか。もうひとつの背景として、力士らしい顔つきと体格が大横綱北の湖を彷彿させるからではないだろうか。稀勢の里の目の辺りが、ややもするとふてぶてしかった取り組み前の北の湖の表情と重なってしまう。しかも稀勢の里の場合、いい塩梅にしゃべってくれる。北の湖ほど無口でもふてぶてしくもないし、人のよさそうな憎めないお茶目な雰囲気が程よくにじみ出ている。ちなみに北の湖もひとがよかったのかもしれないのだが、あのふてぶてしさが祖の印象を見事に打ち消していた。それでも往年の相撲ファンには忘れられない力士ーそれが北の湖だと思う。輪島、北の湖の時代、続く四横綱時代、その後の千代の富士の台頭には、必ず北の湖の存在があった。北の湖なしにはあり得なかった相撲の黄金期が確かにあった。
わたしも北の湖の現役時代は毎日のように大相撲を見ていたが、次外国人力士は高見山しかいなかった。第に相撲観戦から遠ざかっていったのは、おそらく小学生だったので相撲外のことに興味が移っていったに違いない。かくして最近は、稀勢の里の台頭もあり、ようやく少しずつ相撲をみるようになった。稀勢の里がいなかったら相撲のニュースすら見ることもなかっただろうと思うと、これも伊勢の里効果だろうか。