マニラの住み心地


マニラの住み心地は悪くない。日常生活は快適な要素が多い。果物や野菜は豊富だし、食材の価格は割安。スーパーに行けばある程度は日本の食材も手に入る。家事代行サービス(という言い方が不自然に響くほど、フィリピン社会に溶け込んだ仕事になっている)は充実しているので働く女性にはとてもやさしい社会の仕組みになっている。体を動かしたいのであればダイビングやゴルフもできるし、そこまでしないでも日常的にジムやプール、マッサージも気軽に通える。外食産業も発達している(ただし享受できるかは好みに左右される)。病院や医療設備も整備されている。社会全体が子どもには無条件にやさしい。子どもだと何でも許される感じなので、子連れ家族も外出先でのストレスはほぼ皆無だと思う(この点はまた別の機会に譲りたい)。ともあれ、こういう社会なので、女性は生きやすい社会だと思う。その空気に慣れてしまっているせいか、日本人男性もレディーファースト(死語?)の行動が自然に出るし、明らかに女性も日本にいる以上に堂々としている。歓迎すべき状況である。

ちなみに私が子どもの頃は、商社のマニラ駐在だった若王子さん誘拐事件もあり、マニラ=危ないの印象だった。そこまで遡らずともこの10年でマニラ市内は大きく変わった。特に、住居インフラ(いわゆるコンドミニアム)が次々とできて、空き地同然だった土地に、住居やショッピングセンターの新しい地区(BGCやRockwell)も発展し、10年以上前から住む人に言わせれば隔世の感があるという。相対的なものだとは思うが、中東やアフリカで外国人として過ごしてからマニラに来た友人たちと話していると、今のマニラは恵まれている環境、だと認めざるを得ない。さはさりながら、マニラいいよ~とも言いきれない理由はいくつかある。今のところ、まさにこの3点に尽きる。

1. 自由に歩ける範囲がかなり限定される
ぶらっと好きな時に好きなだけ歩いてみる、という贅沢は望めない。歩きでなくても自転車でもジョギングでもいいが、そういう一定の距離を自分の足を使って動こうとしてもその選択肢がない。なぜか。まず暑い。今日の気温は34度だが、気温より指すような日差しの中で5分も歩く気になれない。そういう意味では、過ぎ近くでも車で移動する沖縄と通じるところがあるのだろう。たとえ歩けても5分も歩けば渋滞のローカル道路にぶつかってしまう。車の多く排気ガスもひどいので、事故の危険性も高くなるのですぐさま踵を返すことになる。先日、ジョギング好きな私の友人がジョギングするコースを探し、何とかみつけた。地元の住宅街なので、本来はジョギングコースではないし、もともと住宅街でバランガイ(町内会や地元の集会所)もあるので道路のあちこちに絶えず人がいる。そこでジョギングの時間帯も、住民が教会に行く間の日曜朝6時~7時と自ずと限定された。暑さは覚悟の上で歩こうにもジョギングしようにも結局こうした制限がかかる。

2. 衛生観念の違い
パン屋にいた時のこと。レジの店員が私の注文したパンを袋に入れようとしている前で、別の店員が急に掃き掃除を始める。思わず、「いま、そこで掃除はやめてください。パンに埃がつくの、いやなんです」とまで言わなくてはならない。察するとか配慮とかはフィリピンでは期待できない以上、その場で「こうしてほしい」「こうしてほしくない」ことを明確に言うしかない。モール内のお店でも、なぜか客が食べている傍ではき掃除が始まるケースに遭遇したのも一度ではない。

3. 予約の意味、時間感覚
以前、日本社会にいた人にとって、時間感覚がゆるくなるのはマニラだけではあるまい。20-30分は許容範囲とみなされているかようだ。それはもう慣れた。しかし、である。予約時間に遅れるからとの連絡が、あるわけでもない。そしてこれには閉口する。
私の住むコンドミニアムには害虫駆除サービスがついており、3ヶ月に1度、業者が各部屋を回る。平日昼間は仕事なので自ずと日を改め、土曜日の予約となる。それが今日の朝10時の予定だった。トウゼン、10時に来やしない。10時半になっても気配すらない。平日仕事していると土曜にしかできないころもある。やおら、害虫駆除担当の管理事務所に電話することになる。「予約している害虫駆除の業者が来ません。午後の予定もあるので来るかどうか調べて連絡下さい」。すると電話口の主は「フォローアップします」と話す。ちなみにこの2語、「フォローアップします」「コーディネートします」は使いようであり、曲者でもある。フォローアップしたところで何も起こらないことも珍しくない。「フォローアップして、業者が来るか来ないかのを連絡する」まで手はずを整えないと、ひたすら待ちぼうけをくらう週末になりかねない。

さて、業者は果たせるかな11時にやってきた。もちろんあくびれもなく謝ることもない。これからも害虫駆除が毎回これでは困るので、終了後に聞いた。
「今日はどうして遅れたの?」
「忘れてました」 しれっという。
実は彼は先週も来ていて、追加の処置が必要だから来週も別の薬剤を持参してくると彼から言い出したのだ。朝9時を希望したけれどすでに先約があるから10時の枠にとメモしていたのも同じ彼。なのに、肝心の薬剤すら忘れてきているので、何をしに来たのか不思議に思ったというおまけつき。
「あの時、スケジュール表の10時枠に書き込んでいたのに、忘れたの?
「実は金曜日と思っていました」
勝手に話を作りだしている気もするがまあいい。こちらもとにかく済ませて、という気に傾いている。「土曜日の約束の時間に来るかどうかもわからない状況で待ちたくないから、次回はこういうことのないようにして」
というと、ようやく sorry..
仕事でも感じることは、フィリピンでは「段取り」とか「ほう・れん・そう」などゆめのまたゆめである。こうして、友人が話していたように「フィリピンに来て諦めることを覚えた」道を私も辿っている。

以上は、2017年5月でのベースラインとして書き留めておく。今後、自分の感じ方がどう変わっていくかが楽しみである。

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プロフィール

Sainah

Author:Sainah
仕事&興味:途上国と開発援助 [セクター] 農業・自然環境・生態系
少数民族、伝統文化、科学・技術、時間管理、組織マネジメント、外国語(☜ 日本語とあわせて日々奮闘中)、海より山、温泉、古いもの好き、ABBA、中島みゆき

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