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コーディネーション


フィリピンに住んで3年目。日々の生活や仕事は慣れたはずが、今だにフィリピン人の「コーディネーション」の意味、塩梅をつかみかねている。

最近あった職場の行事でのこと。Summer outing と呼ばれる慰労会、慰安旅行みたいな位置づけのもの。諸事情で、5月に予定していた最初の企画が順延になっていた。Summer といっても実はすでに雨季に入っているフィリピン(雨季に入ればフィリピンでは夏とはいわず、3-5月が夏になる)。Summer outing を最初に聞いたときは、これを誰がしたいのだろうかと思っていた。概して、フィリピン人は家族と集まるのが大好きである(家族といっても祖父母、おじ、おば、おい、めいといった親戚まで含むextended family を指すことが多い)。なのに週末に職場の人と集まるってどういうこと?それがフィリピン人スタッフは大変楽しみにしているというではないか。

よりによって今年は私がこのイベント担当(副幹事)。しかも幹事はちゃっかり3週間の休暇を取って不在。企画とコーディネーションは任せてください、と張り切るイベント担当チームのフィリピン人スタッフ3人。当初は任せていたがやはり一抹の不安がよぎり、時々チェックを入れて不安が増幅したこともあった。というのも、先月退職する同僚Mの送別会の準備をしていたときのこと。サプライズでM送別会をするといいながら肝心のMの予定を確認していなかった(のでMも現れなかった)、という冗談みたいなことが起きた(しかも彼は、もう皆に会いたくないらしいというMには気の毒な尾ひれまでつけられる始末)。結果、2回目の送別会を開いてようやくMを送りだす(しかもMに対するいわれなき誤解を解き←これポイント)ことと相成った。この経験から、細かいと言われようと事前にチェックを入れるしかないと思った。

それにしても皆で楽しむイベント企画というのが一筋縄ではいかない。まずフィリピン人と外国人の希望には明らかに温度差がある。特にフィリピン人スタッフは家族連れで参加するので子どもが喜ぶ前提がどこかにある。また管理職の予定などを考慮すると日程も限定される。あちらを立てればこちらが立たずと。しかも○人以上の参加が必要、などの条件も付く。
「もう時期はずれだしSummer outingはこの際なしにしてその分をクリスマス会に回して盛大にやるとかは?」
と切り出してみると
「それはあり得ません!そういうコーディネーションは不可能です」
ときた。
Summer outing なしは論外だという。わさびのない寿司とでもいいたげ。結局、なけなしの案が、マニラ市内の某ホテルに一泊するstaycation となった。出た、フィリピン人の好きなstaycation。マニラに住んでいるのにマニラに(しかも職場近くのホテル)に泊まるって何?もうちょっといい案はなかったのか、というのが大方の外国人の反応だった(と思われる)が、これがまたフィリピン人には好評で驚いた。逆に宿泊しない外国人(私も含めて)もいるから、チェックインの日の夕方、2時間の出入り自由のHappy Hourを設けることにした。

Happy Hourは土曜日だったので、その週はじめ月曜にはアナウンスを出すように、と指示していた。それが水曜になっても出ない。
「いい加減出さないと、それともみんな知っているの?」
「いえ、知らない人もいます」
「ならすぐにでもメールを流さないと」
「上司の〇〇さんが出すといっていました」
待てど出やしない。金曜の夕方4時になって
「まだ、あの上司で止まっています。忙しすぎると思うのでSainahからメール出してください」
「・・・・・」(コーディネーションって何なの??の気分)

夕方4-6時のHappy hourなので私は3時半について最終確認、事前チェックをするつもりだった。同じチームのフィリピン人にも3時半に来るよう言うと、わかりました!といって現われたのは3時50分に来た一人。
「これ、4時から始まるんだよね?」
「大丈夫です、皆来るのは45分過ぎてですから」
「5-10分ならともかく45分遅れるってどうして?4-6時でお店も予約してるのに?」
「フィリピン人は時間通りに来て一人エキサイトしていると思われたくないので、皆の眼を気にするのです」
フィリピンではアジアとラテン(スペイン)、そしてアメリカの入り混じった影響を感じることがあるが、こういうところはアジアである。

だって現にエキサイトしてるし。そもそもそのエキサイトメントに応えてこのstaycation とHappy hourを設けたはずだった。やれやれと思っていたら、
「念のため、お店とコーディネートして7時までに延期してもらいました。」
それがコーディネートというのか知らない。みてると、ちらほら外国人が集まってきたのが4時半過ぎ、フィリピン人が来たのは確かに5時前だった!

不思議なコーディネーションが続いたが無事に終わり、皆も楽しそうでよかったことであるよ。つくづく彼らはhappy lifeと楽しむ機会を作りだす天才だと思う(ここはラテンの血)。心地よい疲れを感じながら、私は自分打ち上げで、別の友人との夕食に向かった。

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プロフィール

Sainah

Author:Sainah
途上国と開発援助、農業・生態系、少数民族、伝統文化、科学・技術、時間管理、組織マネジメント、外国語(☜ 日本語とあわせて日々奮闘中)、海より山、温泉、古いもの好き、ABBA、中島みゆき、海外ドラマ

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