Inter/multi-disciplinary


学際的分野とか学際的取り組みなど、「学際」という言葉が使われるようになった。今でも一部使われているらしいがかつて、複合領域とか文理融合(←ここまでくると個人的にはわかりにくい感あり)といわれていた頃もあって、それが発展して「学際」もなったのではないだろうか。ほかにもあれやこれやと形容詞があって、分野横断的という向きもあるようだが、簡単にいえば今は「学際」ということに集約されよう。

ある大学の先生の本を読んでいたら、転向をすすめるくだりにぶつかった。学部と大学院途中で2回転向し、工学→文学→言語学のように専門をシフトしてきたという、ご自身の経験を踏まえ、また数学専攻や音楽美学専攻だったほかの言語学者を引き合いに出し、学問上の紆余曲折は非常にためになることが多い、と書かれる。読みながら私は、これは転向だけでなく学際のすすめでもある、とも読み直した。

この動きは、何も学問に限ったことではない。
たとえば国際協力の世界なんてもう、人種のみならず専攻分野のるつぼそのものである。フランス文学で博士号をとったのに開発経済の仕事をしているとか、生物専攻だったのに開発教育をしているとか、そういった例はもう枚挙に暇がない。地域研究の世界もその性質上、ちょっと似ているかもしれない。よくも悪くも、かつての専門の細分化から多様化、高度化が進み、そうでないと対応できないようになってきている。政治の世界だってある意味、そうかもしれないとさえ思えてくる。英国のサッチャー元首相も化学専攻だったし、マレーシアのマハティール元首相だって医者だった。その道一筋という生き方はすばらしいと思う。ただ、芸術や特殊技能ならいざ知らず(*1)、学問や公益にかかわる仕事において、ある限定された世界や分野しか知らないで長いことリーダーシップを発揮し続けた例を、あまり知らない(*2)。

おそらくこの、複数の専門をもつことが割とフツウのことと捉えられていなかったのが、これまでの日本だったのだろう。マルチキャリアのすすめも、個人的には若い頃にどこかで読んだことがあったが、目から鱗と思うほど当時は珍しいというか、少なくとも普通に受け止められることではなかった。二足のわらじではないけれど、マルチキャリアやダブルキャリアの追求が、市民権を得たかのように自然なこととして論じられるようになったのは、比較的最近のことではないだろうか。基本的には歓迎すべきことだと思う。
「自分の最初の専攻に囚われる必要はない。自分の興味に従って、どしどし転向すべきである」
こういうことが、当たり前に大学の先生から発せれるようになって、私は何だかうれしい。



*1 急死した指揮者のシノポリだって、指揮者になる前は医者だった。

*2 複数の専攻でなくても、様々な機会を捉えては勉強している方が多いとお見受けする。


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プロフィール

Sainah

Author:Sainah
仕事&興味:途上国と開発援助 [セクター] 農業・自然環境・生態系
少数民族、伝統文化、科学・技術、時間管理、組織マネジメント、外国語(☜ 日本語とあわせて日々奮闘中)、海より山、温泉、古いもの好き、ABBA、中島みゆき

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