Uber


Uber とはマニラや米国で普及している車の配車サービスだ。日本のタクシーサービスに近い。ただ日本ではタクシーを電話で呼ぶが、uberは客が携帯アプリで乗車位置と行き先を入れると近くにいるuber登録車が配車されてくるシステムだ。これだと、この時間帯で出発すると、行き先までいくらかかり何分くらいで行けるか、という情報が事前にわかる。そこで、配車を依頼すると事前登録した客のクレジットカードに課金されるので、現金を持ち歩くことも支払いに手間取ることもない。フィリピンに限らないと思うがおつりがないことが多く、絶えず細かいお金を持ち歩いていないこともありサインレスの事前カード払いで済むメリットは大きい。またドライバーも名前や顔写真、プレートナンバーもわかるので、ぼったくられるということもなくその土地に明るくない外国人や観光客でも安心だ。Uberの運転手は登録時に研修を受けるので客へのサービスを心得ている。何より車がきれいだ。マニラのタクシーは日本のようにきれいなタクシーではなく、シートベルトがついていない(あっても機能しない)とかメーターがないなどザラで、乗り心地も概してよくなくドライバーのマナーも様々なので正直おすすめできない。むしろuberの方が確実で安全ということで、2年前にマニラで始まったuberは確実に評価を得ている。

さらに、客が車を依頼してから、到着まで何分かかる、今どこに車はいて目的地に向かっている、ということもアプリで示されるのだ。客は待っている間、運転手と電話で話したりテキストでここに来て、と待っている場所を明確に示すこともできる。渋滞であまりに時間がかかっているとキャンセル、ということもできるようだ。運転手も、車とiphoneがあれば、自分の勤務時間に縛られずに運転できるので好評だ。聞けばこれまで乗ったドライバーも、フルタイムでuber運転手をしている人もいれば、自営業の仕事や親の介護があるので、週に3日はuberの仕事をしている、一日の午後3時~6時は外している、など色々なパターンがある。GPS(マニラではwazeという渋滞情報込みのシステム)を載せた、5年以内の車であれば何でもよく、家族(姉など)の車を使ってuber稼業をという例も散見される。



サーシャは同じコンドミニアムに住むドイツ人。ある日、偶然知り会ったのだが今では毎日のuber mateだ。部署は違うが同じ職場で、赴任時期も年齢も同じ頃、家族環境も似ており何かと感覚が合う。渋滞を避けたい勤め人にとってマニラの朝は早く始まる。7時半勤務開始の我々は7時に家を出ることにしている。いつしか、サーシャはuber ドライバーを見つけてきた。毎日、定刻(あるいは前の日に決めた時間)に勤務先までの送迎を頼むというものだ。それはいいと私も二つ返事で乗ったのだが、用心深いサーシャは、1週間試行してから決めよう、と提案。もちろんそれでいい。

そのサーシャだが、なかなか時間にうるさい。日本人の私など足元にも及ばないレベル。Uber ドライバーの到着まで、今ドライバーがどこを走っているかを絶えずチェックしている。「仕方ないよ。今日は雨だから遅れているんじゃないの?」と言ってはみるものの、5分も待てない。あろうことか、今日から試験的に始めたドライバーが遅れた。迎えの時間にいないので、電話すると途中の道が渋滞で遅れると話している。「5時と決めたでしょ。遅れるなら事前に連絡してよ。そうすればオフィスに残って仕事を済ませられるでしょ。乗り場までおりて待つ必要ないじゃない。次に遅れる時は約束の時間の1時間前までに連絡ちょうだいね」
ごもっともである。こういうことをさらりと笑顔で言えることは大切だ。しかし、ここは渋滞で悪名高いマニラ。時間どおりいかないことも織り込み済み、のはず。

「この調子じゃ、様子見て、また別のドライバーを探した方がいいかしら?」とため息をつくサーシャ。
気持ちはわかるが、まだ試しの一週間の初日である。この一回で決めるのは早すぎるのではないか。しかもようやく見つけた固定ドライバーで気をよくしていた私は、何もそこまで気を回さずともいいのに、と正直思った。
15分ほどして到着したドライバーは、遅れてごめんなさいと手を合わせて謝っていた。彼は近くに住んでいるので朝早い時間でも遅れる心配は少ないし、道もよく知っている。何より欲もないのでできれば彼にこのままお願いしたいと私は思っている。一度の遅刻くらいで目くじら立てることもない。それはサーシャも同じだと思う。

とはいえ、ドライバーもなかなかのもの。サーシャに注意されて、「はい」と殊勝なところをみせはした。それでも続けて言う。
「マダム、渋滞に巻き込まれて車が動かず時間に遅れるとわかったとき、それはもうショックでした。ショックでショックで、ショックのあまり我を忘れて連絡するまで頭が回りませんでした。すみませんでした」
対してサーシャは、「次回からショックを受けたらすぐに連絡ちょうだい」とピシャリ。

降りる時に支払おうとすると、ドライバーが「マダム、200ペソひいて下さい。遅れたので今日は全額はいただけません」
こんなこというフィリピン人ドライバーがいるだろうか。しかし本気だろうか、とも思っているとサーシャときたら、この一言にすっかり参ってしまったらしい。全額を払いながら
「なんていじらしいの。あの欲のなさが好きなのよね」、続けて曰く、「毎日何かあって、何もかもが経験よね」の笑顔満面。

いやはやこのサーシャの反応の振れ幅も、傍から見ていて十分面白い経験として私には映った。

心細かったこと


このところ、体調がいまひとつだった。最初に異変を感じて様子をみながら1週間、どうもおなかの調子が収まらない。それどころか一時は復調したかと思えば週末から悪化している模様でますます落ち着かない。食欲もあまりない。これまで1週間も不調が続くことはなかったので何か病気が潜んでいるのかとも気になり、すがる思いで近くの診療所(クリニック)に朝一番に予約を取り向かった。

待ち時間の間、他の患者は知り合いなのか何やら楽しそうにおしゃべりしているが、まだマニラに来て日の浅い私など気弱にもなりシュンとしている。この病院だって初めてだ。問診ではこれまでの経緯と日々の生活、最近の環境の変化等について話す。午前11時までに検査を済ませれば午後4時に再び診断を出すとのこと。血液検査は、恰幅のいい看護士(おにいちゃんともおじさんともいえるフィリピン人男性)が出てきて内心ギョッとしたが、まったく痛くない採血をしてくれたのでホッとする。お昼も食べる気もせず、バナナと水分のみ摂取。3時半頃、メールで検査結果が届いたが数値のみが並んでおり、文字といえば「診断時に説明します」とのみ書いてある。結局、よくわからない。

午後またクリニックに行くと、午前とは違う先生だった。これがまた余計に私を心配させた。何か難しい病気の診断が下るのか?とまで覚悟した。医師は開口一番、「検査の結果、特段の問題は見当たりませんね」と真顔で告げ、「まあ、何か悪い油にでもあたったのでは。油は胃や腸に異変を引き起こすことがあるんですよ。環境の変化や身内や親しい人の不幸など感情的なストレスも関係します。数日、食べ物に気をつければまだ普通の食生活でいいですよ」

ここで日本なら、おかゆやうどん、お豆腐を食べていればいいのだろうが、ここはフィリピン。家の冷蔵庫も心もとない状況だ。何を食べればいいのだろう。
「BRACですよ。Banana, Rice, Apple, Cereal ね。バナナが好きならバナナ、果物ではバナナのほか、リンゴ、ピーチがいいです。メロンとかマンゴー、スイカはやめたほうがいい。牛乳や卵、油ものも当面は控えるのが無難です。あと水分ね。ただしコーヒーや牛乳は避けてください」
日本で風邪の時、ポカリスエットを薄めて飲むといいと医師に言われたことを思い出した。
「ポカリスエット?塩分も糖分も多いからね。今回は風邪じゃないからやめましょう。元気になってからにしてください」

不思議と少しずつ元気が出てきた。あの心細さは何だったのか。空腹を感じ食欲も戻ってきた気配だ。リンゴね、日本でも医者いらずというし、と思いながら帰りにスーパーでリンゴとバナナ、桃の缶詰にお豆腐を買い、簡単なおじやとバナナを食べる生活を二日ほど続けるとたしかに復調してきた。

この出来事で、健康の大切さを痛感した。マニラに来る前に何人かの方から「体調管理も大切に」と繰り返し言われたが、その通りである。人生の先輩は、無理をしていけない年代に差し掛かったことまでもお見通しだったのだ。

熊本からの手紙


むかし熊本や阿蘇でお世話になったG夫妻。最後にお会いしたのが2012年。熊本のステーキ店で、長年の空白を埋めるかのように再会と会話に花を咲かせたひとときだった。

一度引っ越したと仄聞したのでもう熊本に住んでいないかもと思いつつ、もし今回の地震で熊本にいたら、避難して水のない生活をしていたらと、いろいろな考えがよぎった。やはり気になりしかし混乱のなか迷惑になるかもしれないと逡巡しつつ、えいと月曜夜に電話をかけてみた。すると留守電。流れる応答メッセージをききながら、妙に心配になりあてもなくメールしてみた。

翌朝、メールが来ていた。驚いたが嬉しかった。
まずは無事とのお知らせ、市内の家は何とか無事だったが水道・電気はかろうじて足りてている一方、ガス復旧まで2日かかった、阿蘇の家は修復不能といわれたこと。ほかにも、子どもたちが今週帰熊して手を貸してくれるなど家族の近況が綴られている長い長い「手紙」だった。その手紙を私も何度も読み返した。

熊本は、京都・金沢と並び私が日本でもっとも頻繁に訪れた街。
G夫妻とのご縁がなかったら行くこともなかったかもしれない南阿蘇の村、温泉やローカル路線の駅、何より阿蘇外輪山・内輪山の雄大さは今でも心に焼き付いている。また、中学生の女の子たちが話す熊本弁の語尾、「〇〇けん(〇〇だよね、〇〇だからね)」が何ともかわいい響きだった。

そのG夫妻のはからいで参加した熊本大学の学生向けの米国横断旅行プログラムに参加したのが1988年。その道中で知り会った日本人女性(当時A、米国のメディカルスクールに通う学生だった)とは今でも親交が続いており、今回のマニラ行きも応援・祝福してくれた(お世話になった方(1))。このように、熊本大学プログラムへの参加が原点だったと思えたことがこれまで何度あったかしれない。

恩返しをするときが来ている。

駐車場の障害者用スペース


先日、デパートの駐車場に入ろうとしたら入り口に並ぶ車の列が目に入った。入るだけでも時間がかかりそうだったので変更して隣の市営駐車場に入ってみた。初めて使う駐車場である。そこで、なるほどと感心したシステムが採用されていた。それは入り口の発券機の横に、障害者用スペースを使用するかどうかを選ぶボタンが設置されていたこと。そこを押すことで、駐車場内を進むにつれて最寄りのあいている障害者用スペースを表示してくれるシステムになっている。

我が家の車には障害者マークをつけている。家族を病院に連れて行くときも、大きな病院ですら、障害者用スペースの近くに行くまでそのスペースがあいているかわからない。往々にして障害者用スペースに停まっている車は、障害者マークのないことも多い。

市営駐車場のように入り口で振り分けるシステムは、今まで見た駐車場出はみたことがなかったが全国で普及しているシステムなのだろうか。入り口で申告制とすることで、一定の効果が期待できる。少なくとも「あいているから停めちゃおう」というちゃっかり駐車は格段に減ると思う。もしこのシステムを採用するスーパーや施設があったら私は進んでそこを利用する気がする。

健診

先日、健診を受けに病院に行った。10月早い時期での土曜日受診の枠があるところを探したところ、初めていくとある駅近くの病院のサイトに遭遇した。しかも結果を一営業日で出してくれるという。

いかにも新しい病院で果たせるかな1年前に開いたクリニックという。驚いたのが健診システム。流れがあまりに機能的というかシステマティックで、これまで職場はじめ普通の健診を受けてきた立場からすると、感心することしきり。

まず、受付を終えると、廊下にある血圧測定器で「自分で」測定し、結果は印字された紙をもっておく(後で看護師に渡す)。受け付けて渡されたカップで尿検査も済ませて近くの小窓に提出しておく。ここまでも省エネ型の動線なのだが、その次が面白い。呼ばれて検査室に入るのでレントゲンかと思ったら、そこで一気に身長・体重、視力、聴力などを、6畳くらいのスペースをうまく使って測定(血圧の紙もここで回収)。その脇で軽く着替えてレントゲンへ。看護師が機械の位置など調整し準備をしている頃に、ほかの患者さんを診療していた医師がやってきてレントゲンを撮って(スイッチを押して?)終わり、画像処理。

続いて、隣室に移り心電図。ここはいわゆる町の診療所なので横になる必要がある人のためのベッド2,3台がある。その一部に心電図の装置が備えられている間取り。それが終わると近くで血液検査をし、診察で終了。診察時には既にレントゲンや心電図の結果も出ており、それを見ながら医師が所見を述べる感じ。血液検査等の結果はオンラインで送られてくるので一営業日で出せるとのこと。

待合室の様子もどこか違う。病院の待合室といえばテレビ番組が延々と流れているイメージだったがここにはテレビはない。モニター画面がある。ただし、そこに色々な医療や健康管理の情報が流れている。メタボにならないために、糖尿病予備群になった場合の食生活、骨粗鬆症の軽く抑えるには、食生活や運動、インフルエンザ予防接種の説明、介護用品やサービスについてなど、有用な健康な情報がピックアップされて見易い形で流されている。雑誌も数種類の雑誌が数冊ずつ、新聞1紙が最小限。かといって、受付や医師、看護師対応があっさりして雑なのではなく、むしろとても気持ちいい。

今回はたまたま近隣地域で探したが、横浜などでも近年はこういう開業医が増えていると聞く。病気の予防や未病が叫ばれるが、これからはこうした町の病院、つまり(1)何かあれば駆けつけてほしいホームドクター的存在であり、(2)患者サイドに立ち、病院側も無駄な診療や時間は節約して効果的な医療情報を届け、できるだけ日常生活で病気になりにくい体・健康づくりに向けて応援する、そういったメッセージと受け取れた。

省エネ型、効率的な健診の流れにただただ感心した。毎年の健診にかける時間や日程調整が必要ないくらいに思えてしまった。
プロフィール

Sainah

Author:Sainah
仕事&興味:途上国と開発援助 [セクター] 農業・自然環境・生態系
少数民族、伝統文化、科学・技術、時間管理、組織マネジメント、外国語(☜ 日本語とあわせて日々奮闘中)、海より山、温泉、古いもの好き、ABBA、中島みゆき

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